D旗たなびく

忘却甚だしく、メモ代わりにちょっと書くだけ。 コメントは受け付けていません。

急に寒くなって、散歩も億劫になりがちだがリルにとってはベストシーズン。ヌクヌクと着込んで朝遅く出かける。一旦家を出たからにはちょっとやそっとの散歩じゃ暖まらない。自ずと長い散歩で坂道を行く。当然、最後の方は息を切らして汗びっしょりで、着込んだ物が煩わしい。
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  何やってんのよ。

勝手知ったる街なのに、つい目と鼻の先にある平屋のご主人が亡くなっていたことに気が付いたのは先週の事。
いわゆる独居老人だったから、町内の掲示板にも訃報は載らなかった。
あまり人好きではなかったようで近所でも誰かが話をしている姿は見かけなかったが、庭には本当に美しいバラを何十種類も植えており、一本一本名札までさしてあった。
私はあまり花に詳しくないが、バラ好きのご近所さんによると大変貴重な種だという。
道行く人もその丹精込めたバラにしばし立ち止まって鑑賞するほど。

その人が亡くなったのは、解体工事の音だった。
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産廃物の搬出のため、花の咲いてないバラの蔓をネット毎なぎ倒し、引っこ抜き、切り刻んだ。
誰がこの暴挙を許したのか。
独居ということは、孫子も寄り付かず、親戚縁者からも遠ざかっていたということなのだろうか。
遺品とは言わぬ、せめて解体屋に頼む前に「ご自由にバラをお持ち帰りください」と貼紙の一つも出せなかったか。或いは、自分とともに焼いてくれと遺言できなかったか……

翌々日にはユンボで、あっという間に古家を取り壊した。
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解体屋を悪く言うつもりはない。それは彼等の生業だし、そこにどんな生活があったかなんて考えてたら仕事になるまい。その前に粗大ごみ回収業者が来ていたはずだが、バラなどには目もくれなかったのだろう。
それから、5日後には見事に整地され、不動産屋の旗と”建築条件付き売地”の看板と、ご丁寧に”モデルプラン”まで提示してあった。
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あまりに早い成り行きにポカーンと口を開けて見ていた。というか、嫌でも目に入った。
この家の周りもこの7,8年で建った家だが、その前はずっと駐車場と空き地だった。年明けにはまた、同じような家が建つのだろう。それも横浜。
それにしても、いったいいつ亡くなったんだろう。一月前には庭の手入れをしてるご主人を見かけたような気がするのだけれど…

明日は我が身。
近い将来訪れるだろう実家の処分。
想い出の品の数々を皆さんはどうしてきたのだろう。
物にはあまりこだわらない方だが、そこにあった幸福の形は留めておきたいとは思う。

昨日は11℃、今日は12℃。とても水を見たいとは思えない。まだそこまで体が追いついてない。
犬仲間の皆さんもさすがに出不精になっているようで、近くの公園は我が家の庭になりつつある。
少し走ってリルと遊んでやると図に乗って、リードしたままギャンギャン吠えまくり縦横無尽に走り回るから一喝!
おすわり‼
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   なんでよー

オマエは何も持たないからなあ。それが一番自由かもな。

「あったかくなったら行くよ」
と言いながら、もう暖かいも暑いも通り越して寒い。
ターホーに約束した伊豆高原のリゾート(彼の職場)、忘れていたわけではなかったが、彼の仕事が忙しく連絡してもなかなか都合がつかなかったこともあり、寒くなってやっと約束を果たす日がやってきた。しかも、連絡をしたのが昨日のこと。
彼が同期の同僚の死去を知って横浜にやってきたのが2月だから、ずいぶんと日が空いたものだ。
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  大島が近くに見える
リルと泊まれて遊べる施設があるホテルだから、一緒に連れて行きたかったが、じっくり膝を交えて話をするにはちょっと邪魔だし、また長いドライブだからリルにとっては苦痛。
次は家族でゆっくり泊りがけで来ることにして、私は約束を守るために「走れ メロス」。
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  伊東マリンタウン

閑散期とは言え、彼は普通に仕事中。人気のある”わんわんP”だから、11時チェックアウト後に着き、15時のチェックイン前には辞去しなくてはならない。
途中、伊東マリンタウンで時間調整して11時15分ぐらいに着いた。

なんだかんだ言っても伊豆は暖かい。横浜と2℃くらい違う。
大島、利島、新島とくっきり見えるほどの秋晴れ。やっぱりリルも連れてくればよかったかなあとちょっと後悔。
フロントでマネージャーである彼を呼んでもらう。
昨日会ったように気さくな顔で迎えてくれた。
客がまだたくさんいるロビーで海を見ながら話す。
若手社員の待遇やら、年金やら、ヨットやらその他もろもろ。1分として話が途切れない。
珈琲をすすり終わる頃には大きな窓からの陽光で暑いくらいだったので、ついでに施設見学。
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「チェックアウトしても、客はそのまま居座ってみんな遊んでいくんだよ」
確かに、ロビーにもドッグランにも小さい犬たちがキャンキャン吠えて嬉しそうに跳ね回っていた。
ナオト氏の末っ子じゃないが、陸より水が好きなラブ達が時折ざぶーんとプールに飛び込んでいたりする。
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「あのままレストランに来るからねえ」
とまあ、これじゃ昼もなかなか休めない。
私と八ヶ岳で働いていた時も、まともに昼飯をとったことなどなかったっけ。
いつもチェックイン前のわずかな時間に物を無理矢理胃に流し込んだっていう感じだったからなあ。

彼はすでに定年退職してる。
今は再雇用という形でこの宿泊施設を任されている。いろんな意味で彼はこのグループ会社では有用な人物なので、会社側が辞めさせてくれない。それでも就業規則上は一度定年になる。
別れ際に、
「辞めさせてくれないけど、辞めたら何していいかわからん」とも言っていた。
「キャンピングカーでも買って日本中回ってみるかな」
それでも、40年働いてきてすっかり仕事と生活と生きがいが一緒になってる、なんだか職人みたいだった。なにより楽しそうだ。
「無理に辞める必要はないよ」
そう言って別れた。

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帰りもさらに晴れて気持ちいいドライブとなった。
網代や小田原に寄ってたくさん土産を買った。っていうか、自分が食べたかったものを買い込んできた。
夕方に帰宅。
リルは土産の干物や昼に食べた鯖の味りん干の匂いを嗅ぎつけ、その置いてけぼりをなじり、私に体当たりをしてくる。疲れてはいたけど散歩に連れて行き、伊豆のリゾートの話をしてやるのだった。
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  邪智暴虐の王だ…

今度みんなで行こうな。


週末は秋の船底塗装。
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息子は休みなく学校に出張っており、寝に帰るだけで役に立たないから、また友人タカハシと後輩エンドウに助っ人を頼む。
いつもは三日でやりあげるが、今回は軽くやろうと土曜、日曜の二日間。
毎回「きれいなもんじゃないですか」と言われ、実際船底に関してはほとんど問題なく、だからさらっとやるつもりだったが、上架してみるとペラがひどい状況だった。
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  これでも半分フジツボを落とした後。

いつも塗料を頼んでいる海王さんからもペラだけはちゃんとやった方がいいというアドバイス得ていたが、確かにこれは3年ぶりの有様。
今年は台風や雨が多い夏で、あまり乗艇できなかったことに加え、やたらと水温が高かった。台風が10月に上陸したのも海水温が高かったせいだ。海洋生物の異常繁殖か。
キールやラダーにもフジツボがかなりついていて、剥離するのに時間がかかる。
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   友人タカハシによる高圧洗浄

ペラの被膜塗装は下地塗り2回、仕上げ塗2回で、それぞれ気温によって乾燥時間が決まっている。
それで2日間は最低必要になるのだが、たまたま土曜日は20℃を超える気温があってなんとか日暮れ前には仕上げ剤1回を塗布することができた。
友人タカハシにはハルの汚れ落としを、家内には船底の重点箇所の塗装を任せる。
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わざわざ土浦から出てきてもらったタカハシには申し訳ないが、シンナー臭がする作業用のいでたちでは混み合ったアウトレットのレストランは憚れるので、出来合いの弁当にしてもらう。
買いに行った家内が、アウトレットで見つけたというフィッシュアンドチップス(F&C)を持ってきた。
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おお、懐かしい!
かつて英国をバックパッカーとして渡り歩いた私には、安くてボリュームのあるF&Cは毎日の常食だったし、家内と廻った時も2日に一度は食べていた。
魚のフライにたっぷりのフライドポテト。それに塩とビネガーをふるだけのシンプルなファストフード。当時だいたい1ポンド2,30ペンスほど、日本円でだいたい300円くらいで腹を満たすことができた。
今も昔もなにしろ貧乏。
B&Bでガッツリと朝食を食べたら、目的地(ランサムの世界)を目指して列車に乗ったりバスに乗ったりしていた。あとはひたすら歩くだけ。食堂車のパサパサのサンドイッチが4ポンドもしたから、どれだけF&Cがバックパッカーの味方だったか分かると思う。
F&Cとパブだけはどこの町に行っても必ずあったし、なにしろ味に無関心なお国柄なのでちょっとしたレストランで出される料理もとても美味いとは言えなかった。
今ではどうか分からぬが、英国ではインド料理が一番うまかった。
で、そのF&C、はっきり言ってまずい。油も古ければ魚のフライもカリカリ、だいたいは鱈の身が主流だが、場所によってはサワラや鯖だったりするし、うっかりするとアマゾン辺りの淡水魚だったりもする。要はあくまでFishはFish。鱈のフライとは謳ってない。店任せだが看板に偽りはない。
ポテトもジャーマン風のものもあればフレンチフライのやたら長いものもある。揚げたてに出会えばラッキーで、2度揚げ3度揚げなんてのはざら。油でギトギトになっているが、楊枝の1本もくれないから食べた後は手も唇もベタベタになる。油が古いと吐き気すら催す。
そのF&Cも、紙トレーに盛ってくれるところはまだましで、新聞紙を手巻き状にして無造作に放り込み、下端をぎゅっと絞って渡されたりする。
ギトギトのベタベタに自分で塩をパラパラかけ、ビネガーを振り回す。新聞紙の下の方は油とビネガーにまみれて持つ手さえ油っぽく、しかもインクが溶けてチップスが少し黒ばんでいたりする。
こいつと一緒に炭酸の利いたシュウェップスかなんかを飲むと、胸焼けはするし、気持ち悪くなったりもする。唯一の利点は腹持ちがいいということだけ。

家内の買ってきたF&Cは、まるで女王陛下への献上品のごとく柔らかで油切りもよく、ビネガーはまろやかでケチャップとタルタルソースまで端に盛ってあった。
なにか別の料理を出されたようで、びっくりした。
違う、違う、F&Cはこんな上品じゃない。と思いつつしっかり食べた。

仕事を終えて家に戻ってからタカハシといつもの居酒屋で一杯。相変わらずうまそうに飲むねえ。

翌日曜はエンドウが助っ人。
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人にはなにか取り柄が一つあるもので、カーマニアのエンドウのパフ掛けだけは脱帽だ。
前日の多少の粗を見事に埋めてくれる。しかも速い。
鏡面仕上げにヤードのピーター・ダックことKさんからもお褒めの言葉。
よかったな。うまくすれば転職できるぞ。
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  ピーター・ダックと謎の車

下架は15:30。船台のあった塗り残し部分を最後宙ぶらりんに吊り上げられて塗る。塗り終わったらだいたい30分ほどの乾燥時間をもらう。
が、塗り終わってから10分ほどするとスタッフたちがポンツーンにバタバタ走り出した。
私のフネと同型のマイレディが曳航されてクレーン近くに係留されてきた。
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ビルジポンプを持って走ってきたスタッフを掴まえて話を聞くと、どうやら浸水してるらしい。
「床上5cmまできてるんですよ」
原因も浸水個所も不明だという。
かくして、我がフネは15分で下架させられることになる。
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今日は2日間留守番をさせられたリルとマリーナへ行く。
さすがに、体のあちこちが痛いし、鈍重な疲れもあったので、微風ながら帆走はやめ、機走だけした。
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   オニギリ買ってないよ~

船底塗装後の走りは全然違う。ペラ周りの付着物も完全除去されて回転数も復活したし、シャフトのバランスも元に戻ってガタガタしなくなった。
充電をかねて八景島まで行く。
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敢えて長く乗るつもりはないので昼飯を持ってこなかった。リルはそれでちょっと不服そう。
いつもは八景島の内湾でのんびりオニギリ食べるからね。
2時間ほど走ってバッテリー充電。
リルのためにフネ洗いを後回しにして、レストラン街へ。
でも、結局またF&Cを買ってきてしまった。
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  じーッ。ごっくん。

どこぞの大統領じゃあるまいし、ケチャップなんて要らないよ。
でも、タルタルをかけてもらった。店の彼は本当に英国人なんだろうか?

タカハシ、エンドウ、お疲れ様! どうもありがとう。









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