いよいよ運命の日。
シリンダーヘッドを替えてどうにもならなければ、屋形船として10ヶ月過ごし廃船となるなる瀬戸際。
ここはHさんの技量と感に頼るしかない。情けないことだが自分ではどうしようもない。
忙しいHさんだけに、何時にという約束はしていない。第一、部品を揃えるのだって昨日の今日だから、在庫がメーカーにあるかどうかすらわからない。

リルと早めにマリーナへ行き、デッキの拭き掃除などに精を出す。死に化粧か?
今日は良い風が吹いてるし、夏雲も鮮やかに視界がいい。それほど暑くもない絶好のセーリング日和。
こうなるとなんか恨めしい。
結局Hさんは午前中来られなかった。と言って、いつ来るのかなんて連絡もしない。無理を承知での頼み事だけにここはじっと我慢。せいぜいいつ来ても分かるようにポンツーンをリルと散歩しただけ。
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   ジーッ。
昼は最近お気に入りのBLTパニーニを食べる。
フネがなくなったら、こいつを食べることも少なくなるだろうなあ。

Hさんは1時過ぎに来てくれた。
ご自身もゴールデンレトリバーの愛犬をお持ちなので、すぐリルと仲良しになる。
キャビンに入るとすぐに見せられたのがこれ。
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 昨日までついていたシリンダーヘッド。
真ん中にある二つの給気、排気孔両方に亀裂が入っていた。
「排気の逆噴原因をを調べていたら、見つけました。両方に亀裂が入るのは滅多にないです」
ヘッドを交換するなら、古いものを見ることはしないだろうが、Hさんはそれを探ってくれていたわけだ。
それもこんな重いものをわざわざ見せるために持ってきてくれたのである。本当に頭が下がる。

で、いよいよ新しいシリンダーヘッドの付け替えに入る。
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シリンダー室に十分オイルを塗り、燃料ポンプで軽油をなじませる。プーリーを回しながらオイルや軽油がシリンダー上部から染み出すまで室内にゆっくりと馴染ませていく。これがいい加減だとシリンダー室を痛めてしまうからだという。
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新しいガスケットを入れ、止め金具にもオイルを指で塗っていく。
Hさんは一つ一つの過程をきちんと説明しながらやってくれるのだ。
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新しいヘッドアッセンブリー。なんかかわいいよねえ。

これからが微妙な力作業。
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トルクレンチでシリンダーヘッドを締めあげていく。締め上げ量で気密が決まるのだが、これが結構微妙。
ヤードでやれば計測できるのだが…
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バルブロッカーアームとの隙間調整にこんなものを使う。初めて見た。
なんていうのか知らないけれど、このステン板の厚みを保持しつつ、バルブシステムのナットを締めつけていく。
微妙な厚みなんだな、これが。
ここで、一旦休憩。
コクピットでジュースなどを飲みながら雑談していると、たまたま海王さんもやってきて、三人で談笑。
そんな中でもキャビンのリルはおとなしくしていたので、ササミチップスを進呈。
で、いよいよ最後の組み立て。
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ボンネットカバーを付け、新しいミキシングエルボーをエキゾーストにねじ込み、エアエレメントやドレンも新しくして、あとはアース配線とオルタネーターをつけるだけの状態。
燃料ノズルは問題なかったし、Vベルトも大丈夫。塗装が剥がれたエンジンにカラースプレーまでしてくれた。
「あとはちゃんと動くかですね」とHさんはさらっと言う。
3時すぎに全部整って、運命の始動。
電源を入れ、スターターを押す。頼む!

ブルルーン!
おお!!!、間髪入れずに始動。二人で顔を見合わせてにっこり笑う。
暑さに耐えてよく頑張った。感動した!

排煙無し!排水透明!やったーっ!
って、私は何にもしてないんだけどね。
排水が透明であることに感動するなんてちょっとおかしいんだけど、率直にHさんにその感動を述べると、
笑いながら「よかったですねえ」と、さりげなく返される。格好いいよなあ。
この後、試走。
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リルも満足そうに乗ってる。

30分ほど、スロットルを上げたり下げたりしながら、日が傾き始めた沖合を機走。
やっぱり海はいいねえ。
嬉しくて自バースさえ間違ってしまうほどだった。
帰港後、何度も頭を下げながらHさんに感謝。
リルもいつの間にかなついていた。
JOLLYHOTの復活だ。